石川 亮 司法書士事務所
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消費者トラブル
消費者トラブルとは
消費者トラブルとは、主に消費者と事業者間の契約トラブルのことを言います。民法の原則に契約自由の原則というものがあります。これは、当事者間で自由な内容の契 約を締結できるという原則です。しかし、現在の社会においては、契約は非常に複雑化し、十分な説明を受けないままに、一方的に契約を締結させられてしまう 場合があります。また、自由競争主義の下に、必要でない商品を訪問販売や電話勧誘販売で無理やり売りつけてしまうケースも多く見られます。これを民法の原 則である契約自由の原則に当てはめれば、いったん契約を締結した以上は、消費者は泣き寝入りしなければならないということになります。
しかし、これでは不公平ではないでしょうか?事業者と比べると、消費者というのは一般 に弱い立場に立たされます。情報の量も不十分ですし、心構えも違います。また、リスクの面においても、事業者は会社に守られていますが、消費者は丸裸の状 態で、いったん契約を締結するとそれに拘束されてしまいます。以上から、契約自由の原則は修正され、消費者を守ろうという傾向が強くなっています。
消費者トラブルの被害者は後を絶ちません。これは、次々に新しい商法が考えられ、法律 が追いついていないからです。また、法律を無視した、詐欺商法やいんちき商法も数多く見られます。これらは特にお年寄りや知的障害者などの弱い立場の人が 犠牲になっている場合が多いのです。消費者トラブルに巻き込まれても、法律や行政が守ってくれると安易に考えてはいけません。自分のことは自分で守る、そ れが大原則であり、万が一被害にあったときには直ぐに専門家に相談してください。被害に遭っても、本当に悪いのは業者のほうであり、消費者ではありませ ん。決して泣き寝入りすることだけは止めてください。
このページの一番上へ問題商法
現在問題になっている商法のほんの一部を紹介しています。問題商法はまだまだたくさんあり、日々新しい商法が生れています。ただし、これらの商法を少しでも知っておけば、もし自分が問題商法に巻き込まれそうになったときでも、対応の仕方が全然違ってくると思います。
| 点検商法 |
「点検に来ました」と偽って家に上がりこみ、「布団にダニがいる」「床下が湿気だらけ」などと虚偽の説明をして、商品を売りつける商法 |
| 催眠商法 |
安売りや講習会などの名目で人を会場に集めて、日用品などを無料で配布したりして会場を煽り、一種の催眠状態にして冷静な判断を失わせた上で、最終的には高額な布団などを買わせる商法 |
| 資格商法 |
講座を受けるだけで国家資格が取れるかのような電話勧誘をし、高額の受講料を払わせる商法 |
| 内職商法 |
「家で簡単にできる仕事」などと仕事を紹介する振りをして、その仕事のために必要だからとパソコンや教材を売りつける商法 |
| モニター商法 |
布団や浄水器などの商品を購入してモニター会員になれば、毎月高額のモニター料を支払うなどと勧誘し、これらの商品を売りつける商法 |
|
霊感・霊視商法 |
宗教や霊感を持ち出して人の不安を煽り、高額な壷や印鑑を売りつけたり、宗教団体に多額の寄付金を払わせる商法 |
| ネガティブオプション(送りつけ商法) |
注文をしていないのに一方的に商品を送りつけ、「一週間以内に返品されなければお買い上げいただいたものとみなします」などど記載して商品を売りつける商法 |
| デート商法 |
商品販売の目的を隠してデートの約束をし、異性間の恋愛感情を巧みに操りながら、最終的には高額な商品を売りつける商法 |
| ホームパーティー商法 |
借りた個人の家に近隣住民を招待し、ホームパーティーを開催して断りにくい雰囲気をつくり、高額な鍋や包丁などを売りつける商法 |
| かたり商法 |
消防署の制服のようなものを着て「消防署のほうから来ました」などといかにも役所の人間のような振りをして、消火器などを売りつける商法 |
| 展示商法 |
「見るだけでいいから」などと呉服の展示会や絵画の展示会に言葉巧みに誘い込み、旅館の温泉やビルの一室に連れて行き無理やり売りつける商法 |
| 求人広告商法 |
「下着モデル募集」「呉服の展示会の接客」などと、求人広告の振りをして人を集め、下着や呉服を着させ、着用したものはもう使えないから購入してくれと迫る商法 |
| 預託商法 |
一定期間業者にお金を預ければ、業者で和牛や金を購入し、元本と多くの利息を付けてお金を返還すると言葉巧みにお金を預けさせ、実際は和牛や金を購入しない商法 |
消費者トラブルへの対処法
クーリングオフ
消費者トラブルの対処法で一番効果的なのはなんといってもクーリングオフです。その最 大の特徴は、いったん契約を締結しても無条件で、消費者に何の不利益もなく取消せるということです。しかし、クーリングオフは全ての契約に使えるわけでは なく、しかも取り消しをできる期間が非常に短いということに注意が必要です。
クーリングオフの要件(訪問販売の場合)
|
原則として、業者の営業所以外の場所で行われる販売であること |
営業所以外の場所で契約の締結等をしたことが必要です。ただし、営業所であっても、キャッチセールスやアポイントメントセールスで営業所に連れて行かれて契約等を締結した場合には、クーリングオフは可能です |
|
対象が指定商品若しくは指定権利の販売または指定役務の提供であること |
全ての商品においてクーリングオフが可能なわけではありません。政令で定められた指定商品だけがクーリングオフの対象になっています |
|
法定記載事項が記載された書面を受領してから8日以内であること |
契約書を受け取った日を含めて、8日以内にクーリングオフをしなければなりません。しかし、その契約書に法定の記載事項が一つでも欠けている場合には、いつまでもクーリングオフをすることができます |
|
政令で定められた消耗品については、それを使用しまたは消費した場合でないこと |
消耗品の場合には、使用若しくは消費によってその価値が著しく減ってしまうのが通常です。従って、一部の消耗品は、既に使用若しくは消費している場合にはクーリングオフをすることができません |
この他、電話勧誘販売、連鎖販売取引(マルチ取引)、特定継続的役務提供(英会話教室、エステなど)、業務提供誘引販売取引(内職商法、モニター商法など)もクーリングオフが認められています。要件は大体訪問販売と同じですが、期間や商品などには若干差異があります。
クーリングオフの行使方法
クーリングオフに契約解除の理由は不要です。無条件に解除できる制度だからです。ただし、書面でする必要があります。できれば内容証明郵便で郵送するのがいいでしょう。書式は自由ですが、契約の日時、商品名、価格などで契約の対象を特定できるようにしてください。
クーリングオフの行使期間内に通知書を発信すれば解除の効力は発生しますので、書面が相手方に到達しなくても大丈夫です。
消費者契約法による取消
消費者契約法は、2001年4月から施行された新しい法律です。消費者契約法は、消費者と事業者間の、情報の差や 交渉力の格差を埋めるために、契約自由の原則を修正して、一定の場合に消費者に取消権や契約の無効を認めています。特定の取引でかつ短い期間にのみ適用で きるクーリングオフとは異なり、事業者と消費者の全ての取引に適用することができます。
取消の対象となる行為
消費者が以下のような状況で、契約を締結してしまった場合には、消費者は契約を取消すことができます。ただし、取消事項を知ったときから6ヶ月または契約締結のときから5年以内に取消しをしないと取消権は時効消滅してしまうので注意してください。
| 不実告知 | 契約の重要な事項について事業者が事実と異なることを告げ、それによって契約を締結してしまった場合 |
| 断定的判断の提供 | 契約の目的となるものに関し、将来の価額や金額など変動が不確実な事項について、事業者が断定的な判断を述べ、それを信じて契約を締結してしまった場合 |
| 不利益事実の不告知 | 契約の重要事項について、事業者が消費者に不利な事実をわざと隠して、その不利な事実がないものと思って契約を締結してしまった場合 |
| 不退去 | 消費者が事業者に契約締結の場所から退去して欲しい旨伝えたにもかかわらず、事業者が退去しないことにより困惑して契約を締結してしまった場合 |
| 退去妨害 | 消費者が契約締結の場所から退去したい旨伝えたにもかからわず、事業者が帰してくれなかったので困惑して契約を締結してしまった場合 |
契約の条項が無効になる場合
事業者と締結した契約の中に、次のような条項がある場合には、その条項は無効になります。
| 事業者の免責条項の無効 | 事業者が損害賠償責任を負う場合、または瑕疵担保責任を負う場合に、その責任の免除を規定する条項 |
| 損害賠償額の予定条項の無効 | 消費者が損害賠償責任を負う場合に、その価額が平均的なものを超える場合にはその平均的価額を超える部分 |
| 消費者不利益条項の無効 | 民法や商法に比べて、一方的に消費者の権利を制限したり、消費者の義務を加重する条項 |
割賦販売法の抗弁の接続
例えば消費者が高額のローンを組んである商品を購入した場合、販売会社と消費者との間には売買契約が締結され、 ローン会社と消費者の間にはローン契約(立替契約)が成立します。その後、消費者がクーリングオフや消費者契約法で売買契約を取消した場合、ローン契約は どうなるのでしょうか?ローン会社は、売買契約とローン契約は別個の契約であるから、ローン金額を支払えと主張できるでしょうか?しかし、消費者が売買契 約を解除して商品を返品しているのに、ローン会社には高額なローン金額を支払わなければならないとすれば、消費者に明らかに不公平です。そこで、販売会社 に主張できる事由(これを抗弁といいます)がある場合には、その事由をローン会社にも主張できる(この場合にはローン金額の支払の拒絶)という考え方が出 てくるわけです。これを抗弁の接続といいます。
抗弁の接続の要件
| 割賦購入あっせんまたはローン提携販売による取引であること | 一括払いやマンスリークリア方式は該当しません。2ヶ月以上3回以上に分割して支払うものに限られます |
|
政令指定商品を購入した場合であること |
クーリングオフの指定商品とは若干異なるので注意が必要です |
| 販売業者に対して抗弁事由があること | |
| 4万円以上の支払金額であること | 支払金額が4万円以下の場合には認められません |
| 購入者にとって商行為でないこと | 消費者保護の規定ですから、事業者同士などの場合には認められません |
抗弁の接続の効果
消費者は、ローン会社からの未払い金の請求を拒むことができます。既に支払ってしまった部分を取り戻せるかという議論がありますが、今のところ法律上の根拠はあいまいです。
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